[蛇足] 「バナーネ」、「バローネ」問題と同様に、「ドーフィン」、「桝井ドーフィン」にも名前の混同が見られる。 「(公財)中央果実協会のホームページ」では、
『
(桝井ドーフィンは)明治42年(1909)に広島県佐伯郡廿日市宮内の桝井光次郎が米国カリフォルニア州から導入した。
当初ドーフィン(ビオレー・ドーフィン)として導入したが、その後ドーフィンでないことが確かめられ、以後導入者の名を冠して‘桝井ドーフィン’と呼称されている・・・
』
という。
「ドーフィン」と「ビオレー・ドーフィン」、「桝井ドーフィン」の関係を示す説明としては、不充分である。 これらの関係を明快に解説したものが、「『はなとやさい』2014年7月号(タキイ種苗)30−32ページ」にある。
『
・・・最初にフランスから日本に持ち込まれた品種、これを「ドーフィン」として栽培し始めたところ、この品種は真夏前の収穫できる果実(夏果)は実るものの、夏以降に収穫できる秋果がまったくできないものでした。
後になり、この品種は夏果しか実らないグループに属するサンペドロ種の系統「ビオレ・ドーフィン」であることが分かったのです。
そこで、改めて本物の「ドーフィン」を導入した際、これまでの「ビオレ・ドーフィン」と区別するために導入者の名前をとって「桝井ドーフィン」と名づけた・・・
』とある。
すなわち、和名の「ドーフィン」はサンペドロ種の1つである「Violette Dauphine」であり、「桝井ドーフィン」は「Dauphine」であるという。 しかし、『イチジクと砂丘を渡る風 桝井ドーフィン』によると、フランス国立果樹試験場の権威者による研究書には「In Japan San Piero is grown under the name MasuiDauphine.(日本ではサンピエロ種は桝井ドーフィンの名前で栽培されている)」とあるという。
ここでは、「桝井ドーフィン」は、「サンペドロ種」とちがって「サンピエロ種」であるという。